Ultra ATA ハードディスクの採用について

志田晃一郎
2000 年 1 月 29 日

概要

これまで PC のハードディスクドライブのインターフェースは ATA よりもSCSI のほうが優れているといわれてきた. しかし現状ではほとんどの場合 Ultra ATA が優れた選択である. 研究室でも,今後は Ultra ATA ディスクへ移行する.

1. ハードディスクインターフェース技術の変化

1.1 ハードディスクの読みだし速度

磁気ヘッドとディスクの間のデータの読み書き速度は 記録密度が上がることとほぼ比例して高くなっています. 実際には,シーク時間や回転待ち時間があるので, 順次アクセスの理想的な場合でも実際に観測される 転送速度はこれより低く,ランダムアクセスでは数十分の一になります. IBM のハードディスクの例を示します.

順次読み書き速度
名前I/F容量読み書き速度保有台数
DCAS34330U-SCSI4.3GBytes'978~13MBytes/s 7(シリーズ合計)
DDRS34560UW-SCSI4.5GBytes'9813~21MBytes/s 5(シリーズ合計)
DNES309170UW-SCSI9.1GBytes'9922~30MBytes/s 4
DPTA351500U-ATA/6615GBytes'9931MBytes/s 1

インターフェースの速度はこのように読み書きしたデータを 主メモリとやり取りするもので,読み書き速度とは独立です. 読み書き速度よりインターフェース速度の方が速くないと ドライブの全性能が発揮されません.

1.2 SCSI

現在研究室にある SCSI インターフェースには四種類があります. PCI スロットに挿す別売りカードを介してつなぎます. 普通の (Narrow) SCSI と Wide では信号線の本数が違っていて, 併用するには変換コネクタが必要です.

SCSI インターフェースの種類
名前最高転送速度信号線ボード保有枚数
SCSI5MBytes/s50PowerMac6100,7100 内蔵3
Fast SCSI10MBytes/s50AHA2940,DC3903
Ultra SCSI20MBytes/s50DC390U6
Wide Ultra SCSI40MBytes/s68DC390F3
Wide Ultra 2 SCSI80MBytes/s68AHA2940U2W1

これより Fast SCSI は一世代前のドライブですでに限界に達し, 最新のドライブでは Ultra SCSI でもインターフェースの転送速度が ドライブに追い付かないことが分かります. 一方 MO (最大 4MBytes/s)やスキャナなどの周辺機器は 今後とも Fast SCSI で十分でしょう. Narrow SCSI では一つのインターフェースに七台まで, Wide SCSI では十五台までつなげます.

1.3 ATA と Ultra ATA

ATA コネクタはどのマザーボードにもついているので, カードを買う必要はありません. マザーボードにはコネクタが二つあり,それぞれ二台つなげるので, 合計四台までです.

ATA インターフェースの種類
名前最高転送速度研究室のマザーボード保有枚数
PIO 3約 6MBytes/s OS の都合で DMA モードにならない場合1
DMA 316.6MBytes/s Pentium Pro (440FX Chip Set)マザー3
Ultra ATA/3333Mbytes/s K6-2 マザー,Celeron/PII/PIII (440BX) マザー9
Ultra ATA/6666Mbytes/s Athlon マザー4

IDE(ATA) ディスクは遅いといわれたのは PIO (プログラムドアイオー) モードで動作していた時代で,これは転送速度が遅いのに加え, CPU にも負荷がかかったのです. DMA (ダイレクトメモリアクセス)モードでは CPU が介在しないので, 速度も速く,CPU の負荷も SCSI と変わらないくらい低いのです. かつて SCSI の方が良いといわれた CD-R ドライブも ATA インターフェースに接続するもの (ATAPI) が多くなっています.

最近のドライブはほとんどが U-ATA/66 対応になっています. しかしマザーボードや OS が対応しない場合には, 自動的に低い転送速度のモードになります. U-ATA/33 なら最新型ドライブでもいけることが分かります.

OS の U-ATA 対応
対応Windows98, FreeBSD-3.x, Linux 2.x
M/B 附属のドライバーで対応Windows NT4.0
未対応FreeBSD-2.x (PIO モードになる)

2. コストの比較

ドライブの記憶容量1バイト当たりの値段は,SCSIの方が三倍高いのです.

ドライブの値段(2000 年 1 月現在)
I/F型番容量値段1GB 当たりの値段
SCSIDNES309170 9.1GB25,000円2750円
SCSIDNES31835018.3GB44,000円2400円
U-ATADPTA35150015GB14,000円930円
U-ATADPTA35220022GB18,000円820円

一方 SCSI はドライブと別にインターフェースカードが必要です. 80MBytes/s の転送速度の Ataptec 2940U2W は 4 万円します. これは新しいマザーボードと CPU がセットで買える値段です. 手持ちの Fast/Ultra カードを使い続ければ,そのお金は かかりませんが,最新ドライブの性能は発揮できないことになります.

3. 検討

3.1 研究室での実績

今まで見てきたように,1997 年に登場し '98 年以降に普及した Ultra DMA モードによって,IDE と SCSI の立場は逆転し, それまでの常識が破られました. 研究室では,これまで todoroki (Linux) と sinagawa (Win98) で U-ATA ドライブを運用し問題がないことを確かめています. seta もドライブはそうですが FreeBSD のバージョンの関係で PIO モードで動作しています.しかしそれでも性能上の問題はありません.

3.2 方針

3.3 SCSI を使う場合

3.4 まとめ

マシンの性能はハードディスクに大きく左右される. これまでマザーボードや CPU を交換してもディスクはそのまま という例が多かったが,最近のドライブは容量速度とも 大きくく向上しており,古いドライブのままでは足を引っ張られることになる. 今後はハードディスクの交換も積極的に行ないたいので, 皆さんも協力して下さい.

以上よろしく.


この文章は,高橋君の示唆によりまとめました.